「毎月の保険料が高くて、お金が残らない」
「固定費を減らしたいけれど、保険を解約するのは少し不安」
このように悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
保険料は毎月自動的に引き落とされるため、一度契約すると支出として意識しにくくなります。複数の保険や特約に加入している場合、合計すると毎月1万円、2万円と家計に大きな影響を与えていることもあります。
ただし、保険料が高いからといって、すぐにすべて解約するのはおすすめできません。
保険は、病気やケガ、死亡、就業不能など、貯蓄だけでは対応しにくいリスクに備えるためのものです。保障を減らしすぎると、いざというときに生活費や医療費を用意できなくなる可能性があります。
大切なのは、保険に入っているかどうかではなく、現在の生活に合った保障になっているかを確認することです。
この記事では、保険料が家計を圧迫していると感じたときに、解約や減額の前に確認したいポイントを初心者向けに解説します。
保険料が家計を圧迫している状態とは
保険料が家計を圧迫しているかどうかは、月額だけでは判断できません。
同じ毎月1万円の保険料でも、手取り20万円の人と手取り40万円の人では、家計への影響が異なるからです。
次のような状態が続いている場合は、保険料を含む固定費を一度整理したほうがよいでしょう。
- 保険料の支払い後に生活費が足りなくなる
- 毎月ほとんど貯金できていない
- クレジットカードの支払いを翌月に繰り越している
- 加入している保険の内容を説明できない
- 同じような保障の保険に複数入っている
- 勧められたまま特約を付けている
- 収入が減ったのに契約内容を変えていない
特に注意したいのは、保険料を払うために貯金を取り崩しているケースです。
将来のリスクに備える保険によって、現在の生活が苦しくなっているのであれば、保障と家計のバランスが崩れている可能性があります。
保険を見直す前に確認したい7つのこと
1.毎月いくら払っているか合計する
最初に、生命保険や医療保険などへ毎月いくら払っているのかを確認しましょう。
通帳やクレジットカードの明細を見ながら、次のように書き出します。
- 死亡保険
- 医療保険
- がん保険
- 就業不能保険
- 個人年金保険
- 学資保険
- 自動車保険
- 火災保険
- その他の共済や団体保険
年払いや半年払いの保険については、1年分の保険料を12か月で割り、月額に直すと家計への影響を把握しやすくなります。
たとえば、毎月8,000円の医療・死亡保険に加えて、年間12万円の自動車保険を支払っている場合、月額換算では合計1万8,000円です。
保険を個別に見ると高く感じなくても、合計すると家計の大きな割合を占めていることがあります。
2.何のために加入した保険か確認する
次に、それぞれの保険へ加入した目的を確認します。
保険には、主に次のような役割があります。
- 死亡後の家族の生活費を準備する
- 入院や手術による自己負担に備える
- 働けなくなった期間の収入減少に備える
- がんなど特定の病気に備える
- 子どもの教育費を準備する
- 老後資金を積み立てる
- 自動車事故や住宅の損害に備える
目的が説明できない保険や、「何となく不安だから」という理由だけで加入している保険は、見直し候補になります。
一方で、配偶者や子どもの生活費を支えている人などは、死亡保障を単純に減らすと家族の生活に影響する可能性があります。
保険は、商品名から考えるのではなく、どのリスクに、いくら備えたいのかから考えることが大切です。
3.公的保障でカバーされる範囲を確認する
民間保険を考える前に、公的保障でどこまでカバーされるのかを確認しましょう。
金融庁も、民間保険は公的保険を補完する面があるため、公的保障の内容を理解したうえで必要性を検討することが重要だと案内しています。
たとえば、公的医療保険には高額療養費制度があります。
高額療養費制度は、同一月に支払った医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分が払い戻される仕組みです。自己負担の上限は、年齢や所得区分などによって異なります。
ただし、差額ベッド代、入院時の食事代、先進医療など、高額療養費制度の対象外となる費用もあります。
また、会社員など一定の条件を満たす人は、病気やケガで仕事を休んだ際に傷病手当金を受け取れる場合があります。
死亡時には、加入状況や家族構成などの条件を満たすことで、遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給されることもあります。
民間保険を見直す際は、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 公的保障で受け取れる金額を確認する
- 預貯金で対応できる金額を確認する
- それでも不足する金額を民間保険で補う
「医療費が心配だから、できるだけ多く保険に入る」という考え方では、必要以上に保険料が高くなる可能性があります。
4.必要保障額を計算する
死亡保険については、現在の保険金額ではなく、実際に必要な保障額を計算することが重要です。
必要保障額は、一般的に次の考え方で整理できます。
将来必要となる支出-将来見込める収入・公的保障・預貯金=不足する保障額
生命保険文化センターも、支出見込額から収入見込額を差し引き、その不足分を必要保障額の目安とする考え方を紹介しています。
支出には、次のような項目があります。
- 残された家族の生活費
- 住居費
- 子どもの教育費
- 葬儀や整理に必要な費用
- ローンや借入金
- 当面の予備費
一方、収入や資産には次のようなものがあります。
- 配偶者の収入
- 遺族年金
- 勤務先からの死亡退職金
- 預貯金
- 有価証券などの資産
- 住宅ローンの団体信用生命保険
たとえば、独身で扶養家族がおらず、十分な預貯金がある人と、小さな子どもがいて家計の大部分を支えている人では、必要な死亡保障が大きく異なります。
「周りが入っているから」「以前すすめられたから」ではなく、自分の家族構成と資産状況から考えましょう。
5.保障や特約が重複していないか確認する
保険料が高くなっている原因として多いのが、保障や特約の重複です。
たとえば、医療保険とがん保険の両方に、入院給付金や手術給付金が付いていることがあります。
保障が重複していても、その分保険金を受け取れる場合はあります。ただし、必要以上に保障を増やしているのであれば、毎月の保険料を払いすぎている可能性があります。
次の項目を契約ごとに一覧化してみましょう。
- 入院1日あたりの給付額
- 手術給付金
- がん診断一時金
- 先進医療特約
- 通院保障
- 死亡保障
- 就業不能保障
- 保険期間
- 払込期間
- 更新時期
勤務先の福利厚生や団体保険、クレジットカードの付帯保険などに同様の保障が含まれていないかも確認しておくと安心です。
6.貯蓄で対応できるリスクか考える
すべてのリスクを保険でカバーする必要はありません。
数万円から数十万円程度の支出であれば、保険料を払い続けるより、生活防衛資金として貯蓄しておくほうが対応しやすい場合もあります。
たとえば、毎月5,000円の保険料を10年間支払うと、単純計算で60万円です。
もちろん、保険料は保障を得るための費用なので、支払った金額と受け取る金額だけで損得を判断するものではありません。
しかし、十分な預貯金がある人が小さな支出まで保険でカバーしようとすると、保険料が高くなりやすくなります。
一般的には、次のように考えると整理しやすいでしょう。
- 貯蓄で対応できる小さなリスクは、自分で備える
- 発生すると生活が大きく崩れるリスクは、保険を検討する
保険は、起きる可能性が比較的低くても、発生したときの損失が大きいリスクに向いています。
7.解約以外の選択肢も確認する
保険料を減らす方法は、解約だけではありません。
契約内容によっては、次のような方法を選べることがあります。
- 不要な特約だけ外す
- 保険金額や給付日額を減らす
- 更新型から別の契約を検討する
- 払済保険へ変更する
- 延長保険へ変更する
- 保険料の払込方法を変更する
- 重複している保険を整理する
ただし、払済保険や延長保険へ変更できるかどうかは、契約内容によって異なります。
また、保険を解約してから新しい保険へ申し込むと、健康状態によっては新しい保険に加入できないことがあります。
現在の契約を解約する場合は、新しい保障が正式に開始されたことを確認してから手続きを進めることが重要です。
保険を見直すときの具体的な手順
保険の見直しは、次の順番で進めると判断しやすくなります。
ステップ1.保険証券と契約内容を集める
紙の保険証券、契約者専用ページ、保険会社から届く契約内容のお知らせなどを集めます。
商品名だけでなく、保障内容、保険金額、保険期間、更新時期、解約返戻金の有無まで確認しましょう。
ステップ2.保険料と保障を一覧化する
次のような簡単な表を作成します。
| 保険の種類 | 月額保険料 | 主な保障 | 保障期間 | 見直し候補 |
|---|---|---|---|---|
| 医療保険 | 5,000円 | 入院・手術 | 終身 | 特約を確認 |
| 死亡保険 | 7,000円 | 死亡保障1,000万円 | 10年更新 | 必要保障額を計算 |
| がん保険 | 3,000円 | 診断一時金 | 終身 | 医療保険との重複確認 |
一覧にすると、重複や保障の偏りが見えやすくなります。
ステップ3.公的保障と預貯金を確認する
高額療養費、傷病手当金、遺族年金、勤務先の福利厚生などを確認します。
同時に、現在の預貯金で何か月分の生活費をまかなえるかも計算しましょう。
ステップ4.残す保障の優先順位を決める
すべての保険を同じように扱うのではなく、生活への影響が大きいリスクから優先します。
たとえば、家族の生活費を支えている人は死亡保障や就業不能保障の優先度が高くなる可能性があります。
一方、独身で扶養家族がおらず、十分な貯蓄がある人は、大きな死亡保障の必要性が低いこともあります。
ステップ5.減額・特約削除・解約を比較する
最後に、どの方法なら必要な保障を残しながら保険料を下げられるかを比較します。
一度にすべて変更せず、まずは不要な特約や明らかな重複から整理すると判断しやすいでしょう。
保険料を安くするためだけの乗り換えには注意
現在より安い保険を見つけると、すぐに乗り換えたくなるかもしれません。
しかし、保険料だけで比較すると、保障範囲や給付条件が狭くなっていることがあります。
次の点は必ず確認しましょう。
- 保障が開始される日
- 免責期間や待機期間
- 給付金の支払条件
- 更新後の保険料
- 保険期間
- 告知内容
- 解約返戻金
- 特約の対象範囲
特に、がん保険などは契約後すぐに保障が始まらない商品もあります。
また、年齢が上がってから入り直すと、以前より保険料が高くなるケースもあります。
「月額が安い」という理由だけではなく、必要な保障を満たしているかを確認することが重要です。
体験談|契約を整理すると保険の目的が見えてきた
私自身も、以前は保険の内容を細かく確認せず、「何かあったら不安だから」という理由で契約を続けていたことがあります。
毎月の保険料は個別に見ると数千円だったため、それほど大きな負担だとは感じていませんでした。
しかし、複数の契約を合計してみると、毎月かなりの金額を支払っていることに気づきました。
そこで、保険証券を並べて、保障内容と加入目的を書き出してみました。
すると、似たような入院保障が複数付いていたり、なぜ契約したのか思い出せない特約があったりしました。
すべてを解約したわけではありません。
家計に大きな影響を与えるリスクへの保障は残し、重複していた内容や優先度の低い特約を整理しました。
その結果、毎月の固定費が下がっただけでなく、「何のために保険料を払っているのか」が以前より分かりやすくなりました。
保険の見直しでは、安さだけを追いかけるより、必要な保障を自分で説明できる状態にすることが大切だと感じています。
保険を見直したほうがよいタイミング
保険は、一度契約したらそのままでよいものではありません。
次のような変化があったときは、保障内容を確認するタイミングです。
- 就職や転職をした
- 結婚した
- 子どもが生まれた
- 住宅を購入した
- 子どもが独立した
- 離婚した
- 独立・開業した
- 収入が大きく増減した
- 貯蓄額が増えた
- 保険の更新案内が届いた
家族構成や収入が変われば、必要な保障も変わります。
以前は必要だった保障でも、現在は優先度が下がっているかもしれません。反対に、結婚や出産によって保障を増やしたほうがよい場合もあります。
少なくとも、ライフイベントの発生時や更新前には契約内容を確認しましょう。
まとめ|保険料ではなく保障の目的から見直そう
保険料が家計を圧迫していると感じたときは、すぐに解約するのではなく、次の順番で確認することが大切です。
- 毎月支払っている保険料を合計する
- それぞれの保険へ入った目的を確認する
- 公的保障でカバーされる範囲を調べる
- 本当に必要な保障額を計算する
- 保障や特約の重複を確認する
- 貯蓄で対応できるリスクを分ける
- 解約以外の方法も比較する
保険は、多ければ安心というものでも、少なければ得というものでもありません。
必要以上の保障は家計を圧迫しますが、減らしすぎれば万一のときに生活が不安定になる可能性があります。
まずは現在の契約内容を一覧化し、何に備えるための保険なのかを整理してみてください。
「必要な保障を残し、不要な負担を減らす」という視点で考えることが、無理のない家計改善につながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の保険商品の契約・解約を推奨するものではありません。公的保障の受給条件や保険商品の保障内容は、加入状況や契約によって異なります。実際の見直しは、保険会社や勤務先、各制度の窓口などで最新情報をご確認ください。
よくある質問
保険料はいくらなら払いすぎですか?
適正な金額は、収入、家族構成、預貯金、住宅ローン、必要な保障内容などによって異なります。
金額や収入に対する割合だけで判断せず、現在の生活費や貯蓄を圧迫していないか、必要以上の保障が含まれていないかを確認しましょう。
独身なら生命保険は必要ありませんか?
独身でも、葬儀や身辺整理に必要な費用、親族への負担、借入金、病気や就業不能への備えなどを考える必要があります。
ただし、扶養家族がいる人と比べて、大きな死亡保障の必要性が低いケースはあります。
医療保険は高額療養費制度があれば不要ですか?
高額療養費制度があっても、差額ベッド代、入院中の食事代、交通費、先進医療、休業による収入減少などは別に発生する可能性があります。
預貯金や勤務先の制度を確認したうえで、不足する部分を民間保険で補うか検討しましょう。
保険は解約と減額のどちらがよいですか?
必要な保障が一部残っている場合は、全解約よりも減額や特約削除が適していることがあります。
解約返戻金、再加入の可否、健康状態、今後の保険料などを確認して判断することが重要です。
新しい保険に入ってから古い保険を解約すべきですか?
一般的には、新しい契約の成立と保障開始を確認してから、古い契約の手続きを進めるほうが安心です。
先に解約すると、健康状態や審査結果によって新しい保険へ加入できず、無保障期間が生じる可能性があります。

