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膝の仕組みについて
私たちが日常的に歩いたり座ったりする動作には、膝の曲げ伸ばしが関係しています。膝関節は以下の3つの骨でできていて、膝の骨同士がズレないように筋肉と靱帯、腱で膝を支えています。
- 大腿骨(太ももの骨)
- 脛骨 (すねの骨)
- 膝蓋骨(膝のお皿)
さらに膝のクッション性と柔軟性に欠かせないのが、半月板と軟骨の存在です。
半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある繊維軟骨で、荷重の分散や衝撃を吸収する役割があります。軟骨は、膝を構成する骨の表面を覆っている厚さ2〜4mmのもので、コラーゲン(繊維組織)と水、プロテオグリカンでできています。
このように膝は、3種類の骨と、可動域を飛躍的に向上させる半月板と軟骨によって自由自在に動くような仕組みになっているのです。
- ひざに関連する一般的な問題や症状
ひざの一般的な問題
・膝に水がたまる
膝に水がたまるのは、痛みを我慢している時に起こりやすい現象です。膝に炎症があり、水(関節液)が溜まっているという状態で、関節水症(関節水腫)と言います。本来、ひざの関節液は軟骨や半月板に栄養を与えたり、膝の関節の動きをスムーズにする役割があります。しかし、膝の滑膜という部分が炎症を起こすと滑膜から大量の水(関節液)が出てきます。そして膝関節に水(関節液)が水風船のようにパンパンに溜まり、膝の曲げ伸ばしが出来にくくなり、だるさを感じたりします。医療機関で水抜きなどの処置を受けることも出来ますが、膝関節の炎症が治らない限り、水がすぐに溜まってしまいます。
・変形性膝関節症
現在、約3000万人の患者がいるといわれているのが「変形性膝関節症」です。変形性膝関節症は、加齢と共に関節軟骨が徐々にすり減っていく疾患です。
発病率は高齢になるほど上がります。50歳以降の男女比(患者割合)では、女性のほうが男性よりも1.5倍~2倍多いことがわかっています。
・関節リウマチ
自己免疫疾患で代表的な膠原病の一つです。自己の免疫力が自分自身の体の一部を誤って外敵とみなして攻撃してしまう病気です。リウマチになると膝だけでなく全身の関節に炎症が起き、関節のこわばり、腫れ、発熱などを引き起こし、軟骨や骨の破壊が進みます。
・痛風・偽痛風
痛風は食べ過ぎや運動不足、生活習慣の乱れによって、血液中の尿酸値(プリン体が分解されて生じる物質)が上がり、膝や足の関節の隙間に結晶化し、沈着していきます。関節に尿酸が結晶が沈着している時は症状は現れませんが、結晶がはがれ落ちるときに痛風関節炎が起きて激しい痛みを引き起こします。偽痛風は、ピロリン酸カルシウムの結晶が膝の関節に沈着し、はがれ落ちることで炎症が起きる疾患です。偽痛風は変形性膝関節症と合併して起こることもあります。
・化膿性関節炎
関節内に細菌が入り込み、軟骨や骨を破壊する病気です。菌としては黄色ブドウ球菌が多く、怪我の傷口から感染することが多いです。化膿性関節炎で破壊された関節は元に戻らないため、緊急性が高い病気であり早期の治療が重要です。治療は抗生物質を使用しますが抗生物質の投与が遅れると、痛みが残ったり関節が不安定になることもあります。
・半月板損傷
半月板は膝にある軟骨で、半月板に亀裂が入ったり切れてしまうことで、膝に痛みが出たり膝の曲げ伸ばしが難しくなってしまう疾患です。症状がひどい時には、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなったり、歩けなくなるほど痛みを伴うこともあります。治療では抗炎症薬やリハビリで痛みの改善を試みますが、改善しない場合は手術で半月板を縫合したり切除することも必要となります。スポーツの怪我などによる半月板損傷は若い世代の人が多く発症します。中高年の人の場合は、加齢によって半月板が損傷していることが多いです。
・膝靭帯損傷
膝関節を支える4本の主な靭帯(側副靭帯や十字靭帯)のうち1本でもダメージを受けている状況で、動かせる範囲に制限がかかったり、痛みや血種が出てくる病気です。主にスポーツによる怪我で生じて、靭帯が切れてしまった場合と部分的にまだ繋がっている場合もあります。
対処法
膝の痛みが出てきたときは、まず膝のまわりが熱っぽくないか腫れていないか確認します。熱や腫れがある場合は炎症が起きていますので、炎症を抑えるために氷のうやアイスパックで冷やしましょう。逆に熱も腫れもない場合や、時間が経って熱と腫れがひいてきた場合は温めます。温めることで血行がよくなり、痛みの物質や老廃物が押し流されて痛みが和らぎます。またこわばった筋肉がやわらかくなることで関節の動きもよくなります。
血の巡りをよくして膝の痛みを和らげよう
膝を温めるにはカイロや蒸しタオルなど手軽な方法もありますが、入浴やマッサージがより効果的です。入浴はカラダ全体が温まって血行がよくなり、筋肉もやわらかくなります。余裕のある方は浴槽の中でストレッチを行うのもよいでしょう。
マッサージは膝の痛みがある部分を中心に、まわりの筋肉を丹念にもみほぐします。膝の力を抜いて無理のない姿勢で行いましょう。膝裏、ふくらはぎ、太もも、膝のお皿まわりをていねいにゆっくりマッサージします。血行を促進する作用のあるアロマオイルを使って行うのもおすすめです。アロマオイルは必ずキャリアオイルで希釈して用いましょう。肌の弱い方はパッチテストをしてから行うと安心です。
ひざの健康維持と予防
・適切な体重維持
過体重は膝への負担を増大させる可能性があります。バランスの取れた食事と運動で体重を管理しましょう。
・適度な運動
関節を健康に保つために、適度な運動を取り入れましょう。ウォーキングや水中エクササイズなどがおすすめです。
・正しい姿勢
正しい姿勢を保つことで、膝への負荷を軽減できます。長時間の座り仕事は適宜休憩を取りましょう。
・適切な靴の選択
足のアーチをサポートする靴を選ぶことで、歩行時の膝への負担を減少させることができます。
まとめ
ひざの痛み予防とケアは、日常生活の質を向上させるために不可欠です。ひざの健康を維持・向上させることで、快適な日常生活を送ることができるでしょう。健康的な生活習慣の継続と、必要に応じた専門的なケアを受けることで、ひざの健康を守り、長期的な健康維持につなげましょう。