「30代なのに、まとまった貯金がない」
「病気や失業で収入が止まったら、今の生活を続けられない」
「生活防衛費が必要なのはわかるけれど、何から始めればいいかわからない」
このような不安を抱えている人は、決して少なくありません。
30代になると、20代の頃よりも収入が増える人がいる一方で、家賃、住宅費、保険料、結婚、子育て、車など、毎月の支出も増えやすくなります。
そのため、年収は以前より上がっているのに、思ったほど貯金が増えていないこともあります。
そこで、まず整えておきたいのが「生活防衛費」です。
生活防衛費とは、病気、失業、休職、収入減少、急な引っ越しなど、予想していなかった出来事が起きたときに生活を守るためのお金です。
この記事では、30代から生活防衛費を作るために必要な金額の考え方と、今日から始められる現実的な手順を解説します。
僕自身の仕事や収入に対する考え方が変わった経験も交えながら、無理なく続ける方法をまとめました。
30代の生活防衛費はいくら必要?
先に結論をお伝えすると、30代の生活防衛費は、まず最低生活費の3カ月分を目標にするのがおすすめです。
その後、家族構成や働き方に合わせて6カ月分、必要に応じて1年分まで増やしていきます。
目安は次のとおりです。
| 状況 | 最初の目標 | 最終的な目安 |
|---|---|---|
| 一人暮らしの会社員 | 最低生活費3カ月分 | 6カ月分 |
| 共働き夫婦 | 世帯の最低生活費3カ月分 | 6カ月分 |
| 子どもがいる家庭 | 世帯の最低生活費6カ月分 | 6カ月〜1年分 |
| フリーランス・個人事業主 | 最低生活費6カ月分 | 1年分 |
| 転職や独立を予定している人 | 最低生活費6カ月分 | 1年分 |
たとえば、毎月の最低生活費が18万円の場合、3カ月分は54万円、6カ月分は108万円です。
毎月の最低生活費が25万円なら、3カ月分は75万円、6カ月分は150万円になります。
ただし、最初から100万円以上を貯めようとすると、目標が遠く感じられます。
まずは10万円、次に生活費1カ月分、その後3カ月分と、段階的に増やしていきましょう。
生活防衛費とは、万が一のときに生活を続けるためのお金
生活防衛費は、旅行、車、住宅購入など、予定している出費のための貯金とは異なります。
予想外の出来事が起きたときに、当面の生活を続けるためのお金です。
たとえば、次のような場面で使います。
- 病気やケガで一時的に働けなくなった
- 会社を退職して転職活動が長引いた
- 会社の業績悪化で収入や賞与が減った
- フリーランスの売上が一時的に落ち込んだ
- 家族の事情で仕事を休むことになった
- 急な引っ越しや家電の故障が発生した
- 冠婚葬祭など予定外の支出が重なった
生活防衛費がない状態で急な出費が発生すると、クレジットカードの分割払いやカードローンに頼らざるを得なくなることがあります。
一方で、数カ月分の生活費があれば、焦って条件の悪い仕事を選んだり、無理な借入れをしたりする可能性を下げられます。
生活防衛費は単なる貯金ではなく、人生の選択肢を守るためのお金です。
僕が生活防衛費の必要性を実感したきっかけ
僕自身、以前は工場や電気工事の仕事を約6年間経験し、その後は飲食業へ転職しました。
当時は、毎月給料が振り込まれることを当たり前のように感じていた部分があります。
飲食の仕事を選んだのは、将来的に自分のお店を持ちたいという思いがあったからです。
しかし、働いている途中で新型コロナウイルスの影響が広がり、飲食業界全体が大きな打撃を受けました。
どれだけ真面目に働いていても、社会の状況や会社の都合によって、仕事や収入が不安定になることがあります。
その経験から、「今の仕事がずっと続くとは限らない」「何かあったときに自分を守れるお金が必要だ」と強く感じるようになりました。
その後、テレアポや訪問営業などを経験し、現在は会社を経営する立場になりました。
経営者になった今も、売上や仕事が永遠に安定するとは考えていません。
むしろ、会社員、個人事業主、経営者のどの立場であっても、収入が変化する可能性はあると実感しています。
だからこそ、収入を増やすことだけではなく、収入が止まっても一定期間は生活できる状態を作ることが大切です。
僕にとって生活防衛費は、ただ銀行口座に置いておくお金ではありません。
働き方や人生の選択肢を守るための土台です。
30代から生活防衛費を作る7ステップ
生活防衛費は、一気に作る必要はありません。
家計を整えながら、順番に積み上げていく方が続けやすくなります。
ステップ1:毎月の「最低生活費」を計算する
最初に確認するのは、普段の生活費ではなく、生活を維持するために最低限必要な金額です。
最低生活費に含める主な項目は、次のとおりです。
- 家賃または住宅ローン
- 食費
- 水道光熱費
- スマホ・インターネット代
- 保険料
- 交通費
- 医療費
- ローンや奨学金の返済
- 子どもの生活や教育に必要な費用
一方で、外食、旅行、趣味、高額な買い物など、緊急時に減らせる支出は一度除いて考えます。
たとえば、普段の支出が月25万円でも、最低限の生活なら18万円で暮らせる場合、生活防衛費の計算には18万円を使います。
生活防衛費の計算式は、次のように考えれば十分です。
生活防衛費 = 毎月の最低生活費 × 備えたい月数
最低生活費が18万円で、6カ月分を用意する場合は108万円です。
家計簿を細かくつけていない人は、まず直近3カ月分の銀行口座とクレジットカードの明細を確認してみましょう。
完璧に分類する必要はありません。
住居費、食費、固定費、その他の4つに分けるだけでも、家計の全体像が見えます。
ステップ2:最初の目標を10万円に設定する
生活防衛費が100万円必要だとわかっても、いきなり100万円を目指す必要はありません。
最初の目標は10万円がおすすめです。
10万円あれば、急な家電の故障、病院代、交通費、冠婚葬祭など、比較的小さな緊急出費に対応しやすくなります。
10万円を達成したら、次の順番で目標を引き上げます。
- 10万円
- 最低生活費1カ月分
- 最低生活費3カ月分
- 最低生活費6カ月分
- 必要に応じて1年分
目標を小さく分けることで、途中で挫折しにくくなります。
ステップ3:生活防衛費専用の口座を作る
生活防衛費は、日常生活で使う口座と分けて管理しましょう。
同じ口座に入れていると、生活費なのか、緊急時用のお金なのかがわかりにくくなるからです。
おすすめは、次の3口座に分ける方法です。
- 生活費口座
- 生活防衛費口座
- 旅行や買い物など目的別の貯金口座
生活防衛費は、必要なときにすぐ使えることが重要です。
そのため、株式や投資信託ではなく、普通預金など値動きがなく、すぐに引き出せる場所に置くのが基本です。
金利の高さだけではなく、引き出しやすさ、振込手数料、ATMの使いやすさも確認しましょう。
ステップ4:給料日に先取り貯蓄する
生活防衛費を確実に作るには、「余ったら貯める」のではなく、給料が入った直後に先に分けることが重要です。
たとえば、毎月の手取りが25万円なら、給料日に1万円または2万円を生活防衛費口座へ移します。
残った金額で1カ月を過ごします。
先取り貯蓄の金額は、次を目安にしてください。
- 家計に余裕が少ない人:月5,000円
- 無理なく続けたい人:月1万円
- 早めに作りたい人:月2万〜3万円
- ボーナスがある人:ボーナスの10〜30%を追加
月1万円なら、1年で12万円です。
月2万円なら、1年で24万円になります。
少額に見えても、毎月自動で積み上げれば確実に増えていきます。
先取り貯蓄の具体的な仕組みは、こちらの記事で詳しく解説しています。
ステップ5:固定費を1つずつ見直す
生活防衛費を早く作りたいからといって、食費や交際費を極端に削る必要はありません。
先に見直したいのは、毎月自動的に出ていく固定費です。
代表的な固定費は次のとおりです。
- スマホ代
- インターネット代
- 保険料
- 動画や音楽などのサブスク
- 電気・ガスの契約
- クレジットカードの年会費
- 車の維持費
- 家賃
たとえば、スマホ代を月3,000円下げ、不要なサブスクを月2,000円解約できれば、毎月5,000円の余裕が生まれます。
年間では6万円です。
生活の満足度を大きく下げずに固定費を減らし、その金額を生活防衛費へ回せば、無理なく貯められます。
スマホ代の見直しを検討している人は、こちらも参考にしてください。
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格安SIM乗り換えガイド|ahamo・楽天・UQなど人気5社を徹底比較
ステップ6:臨時収入の一部を生活防衛費に回す
毎月の給料だけで目標額を作るのが難しい場合は、ボーナスや臨時収入も活用しましょう。
ただし、全額を貯金する必要はありません。
おすすめは、臨時収入を次のように分ける方法です。
- 50%:生活防衛費
- 30%:旅行や買い物など楽しむお金
- 20%:自己投資や将来の目的別貯金
生活を楽しむお金も残すことで、貯金だけの生活にならず、長く続けやすくなります。
不用品の売却、副業収入、還付金などが入ったときも、一部を生活防衛費に回すと目標へ近づきます。
ステップ7:3カ月ごとに目標額を見直す
生活防衛費は、一度金額を決めたら終わりではありません。
家賃、結婚、出産、転職、独立などによって、必要な生活費は変わります。
3カ月または半年ごとに、次の項目を確認しましょう。
- 最低生活費は変わっていないか
- 家族構成に変化がないか
- 収入の安定性は変わっていないか
- ローンや固定費が増えていないか
- 生活防衛費を取り崩していないか
生活防衛費を使った場合は、使ったことを責める必要はありません。
緊急時に使うためのお金なので、必要な場面で使うのは正しい使い方です。
状況が落ち着いたら、再び少しずつ補充しましょう。
30代の生活防衛費シミュレーション
ここでは、生活状況別に目標額の例を紹介します。
一人暮らしで最低生活費が月15万円の場合
- 1カ月分:15万円
- 3カ月分:45万円
- 6カ月分:90万円
- 1年分:180万円
会社員で雇用が比較的安定している場合は、まず45万円を目標にし、その後90万円まで増やすのが現実的です。
夫婦二人で最低生活費が月25万円の場合
- 1カ月分:25万円
- 3カ月分:75万円
- 6カ月分:150万円
- 1年分:300万円
共働きで収入源が二つある場合でも、どちらかが働けなくなる可能性があります。
まずは75万円、その後150万円を目標にすると安心です。
子どもがいる家庭で最低生活費が月30万円の場合
- 1カ月分:30万円
- 3カ月分:90万円
- 6カ月分:180万円
- 1年分:360万円
子どもがいる家庭では、食費、教育費、医療費など、簡単には削れない支出があります。
最低でも6カ月分を目標にし、収入の安定性に応じて1年分まで検討しましょう。
フリーランスで最低生活費が月20万円の場合
- 1カ月分:20万円
- 3カ月分:60万円
- 6カ月分:120万円
- 1年分:240万円
フリーランスや個人事業主は、売上が月によって変わりやすく、会社員のような有給休暇や失業給付を受けられないケースもあります。
そのため、6カ月〜1年分を目標にしておくと安心です。
生活防衛費を作るときにやってはいけないこと
生活防衛費を早く貯めようとして、家計や生活を苦しくしてしまうのは避けたいところです。
投資商品だけで生活防衛費を管理する
株式や投資信託は、必要なタイミングで価格が下がっている可能性があります。
生活防衛費は、増やすことよりも、必要なときに確実に使えることが重要です。
投資資金と生活防衛費は分けて管理しましょう。
無理な金額を設定する
毎月5万円を貯めようとして、翌月に3万円を取り崩していては続きません。
月5,000円や1万円でも、毎月継続できる金額の方が効果的です。
クレジットカードの分割払いやリボ払いを放置する
高い手数料が発生する借入れがある場合は、生活防衛費を貯めることと並行して、返済計画を見直す必要があります。
ただし、手元資金を完全にゼロにして返済へ回すと、再び急な出費で借りる可能性があります。
最低限の現金を残しながら、無理のない返済計画を立てましょう。
保険をすべて解約する
固定費を減らすために保険を見直すことは大切です。
ただし、必要な保障まで一律に解約するのはおすすめできません。
家族構成、健康状態、勤務先の保障、公的保障などを確認したうえで判断しましょう。
平均額だけを目標にする
世間の平均貯金額や平均生活費は参考になりますが、正解ではありません。
家賃、家族構成、住んでいる地域、働き方によって必要額は異なります。
生活防衛費は、他人の平均ではなく、自分の最低生活費から計算しましょう。
生活防衛費が貯まった後に考えること
生活費3〜6カ月分を確保できたら、次の目的に合わせてお金を分けていきます。
- 旅行や家電など数年以内に使うお金
- 結婚、出産、住宅などライフイベント用のお金
- 転職や独立に備えるお金
- 老後に向けた長期の資産形成
- 資格取得や学び直しなど自己投資
生活防衛費まで投資へ回してしまうのではなく、守るお金と増やすお金を分けることが重要です。
生活防衛費があることで、長期投資も落ち着いて続けやすくなります。
貯金、固定費、生活防衛費など、お金と家計の記事をまとめて確認したい人はこちらもご覧ください。
30代からでも遅くない。大切なのは今の家計を知ること
30代で貯金が少ないと、「もっと早く始めておけばよかった」と後悔することがあるかもしれません。
しかし、過去に貯金できなかった理由は、人によって違います。
収入が少なかった人もいれば、転職、病気、家族の事情などでお金を使わざるを得なかった人もいます。
大切なのは、過去の自分を責めることではありません。
今の収入、支出、最低生活費を確認し、今月から少額でも生活防衛費を積み立てることです。
僕自身も、工場勤務、飲食業、営業、会社経営と働き方が変わるなかで、収入や仕事が永遠に安定するわけではないと感じてきました。
だからこそ、収入を増やすだけではなく、何かがあったときに自分の判断を守れるお金を持つことが大切だと思っています。
30代からでも、決して遅くありません。
今日の5,000円や1万円が、将来の自分を守る土台になります。
生活防衛費についてよくある質問
Q. 30代の生活防衛費はいくら必要ですか?
まずは最低生活費の3カ月分を目標にしましょう。
一人暮らしの会社員なら3〜6カ月分、子どもがいる家庭やフリーランスは6カ月〜1年分が目安です。
ただし、家族構成、雇用の安定性、固定費によって必要額は異なります。
Q. 貯金がゼロの場合、何から始めればいいですか?
最初は10万円を目標にしてください。
毎月5,000円〜1万円を給料日に別口座へ移し、ボーナスや臨時収入の一部も追加します。
同時に、サブスクやスマホ代など、固定費を一つ見直しましょう。
Q. 生活防衛費はどこに置くべきですか?
普通預金など、必要なときにすぐ引き出せて、元本が値動きしない場所が基本です。
日常の生活費口座とは分けて管理すると、使い込みを防ぎやすくなります。
Q. 生活防衛費を貯めるまで投資はしない方がいいですか?
投資を完全に禁止する必要はありませんが、生活防衛費がない状態で投資額を増やすのは慎重に考えた方がよいでしょう。
まずは最低生活費1カ月分、できれば3カ月分を現金で確保してから、無理のない範囲で投資を考えると安心です。
Q. 生活防衛費と目的別貯金は分けるべきですか?
分けるのがおすすめです。
生活防衛費は緊急時用、目的別貯金は旅行、車、住宅、結婚など予定している支出用です。
目的を分けることで、生活防衛費を日常的な買い物に使いにくくなります。
Q. 生活防衛費を使っても大丈夫ですか?
病気、失業、休職、急な家電の故障など、本当に必要な場面では使って問題ありません。
生活防衛費は、使わないことが目的ではなく、緊急時に生活を守ることが目的です。
使った後は、生活が落ち着いてから再び積み立てましょう。
まとめ:30代の生活防衛費は小さく始めて仕組みで作る
30代から生活防衛費を作る場合、まずは自分の最低生活費を把握しましょう。
目標は、最初に10万円、次に生活費1カ月分、その後3〜6カ月分です。
子どもがいる家庭、フリーランス、独立や転職を予定している人は、必要に応じて1年分まで検討します。
生活防衛費を作る現実的な手順は、次の7つです。
- 最低生活費を計算する
- 最初の目標を10万円にする
- 専用口座を作る
- 給料日に先取り貯蓄する
- 固定費を一つずつ見直す
- 臨時収入の一部を回す
- 3カ月ごとに目標額を見直す
生活防衛費は、我慢して貯めるお金ではありません。
病気や失業などが起きたときに、自分や家族の生活と選択肢を守るためのお金です。
過去に貯金できなかったとしても、30代から始めれば遅くありません。
まずは今日、直近3カ月の支出を確認し、次の給料日に5,000円でも別口座へ移す設定をしてみましょう。
その小さな行動が、家計を守る最初の一歩になります。


